再生医療とは
再生医療と聞いて、すぐに思い浮かぶのは京都大学医学部・山中教授の「iPS細胞」ではないでしょうか。
2014年には世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われるなど、実際に成果をあげています。
そもそも再生医療とは、体の臓器や組織の機能がケガや病気で失われた時、失われた機能を再生させるために
細胞や組織を移植して、臓器や組織の機能を元に戻す医療のことです。
当院では、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を採用しています。
これは、大学病院を中心に数多くの臨床研究や臨床試験が行われ、厚生労働省監視下で安全性の検証が進められた治療です。
患者さんご自身の細胞を使用するため、拒絶反応が起こりにくく、また、高齢の方から採取した細胞でも、効果が期待できます。
たとえば、乳がんの手術で失われた乳房を乳房再建再生医療で元のように美しく戻すことができれば、
どれだけ前向きな人生を送れるでしょうか。
膝を傷めて歩くことさえ困難な方が、膝の再生医療でスムーズに歩くことができれば、
どれだけ楽しい人生を送れるでしょうか。
再生医療は、今後さらに進歩するさまざまな可能性を秘めた治療法といえます。
社会生活が困難な状況が生涯続くこともある「脊髄損傷」

「脊髄損傷」は、交通事故やスポーツ中の事故などで脊椎の脱臼や骨折が起こり、脊髄が圧迫されることによって起こります。
脊髄とは、背骨を形成している脊椎の中にある長い筒状の構造をした神経の束で、頭と首の境目付近から胸と腰の境界まで連続してつながっています。
脳からの指令を体の各部位に伝達し、逆に体からの信号を脳に伝達する役割を持った、いわば反射の中枢です。
脊髄は、首の部分から腰のほうへ順に、脊椎の分類に合わせて頚髄、胸髄、腰髄、仙髄と分かれていて、損傷を受けた部位や損傷の程度によって体にさまざまな障害が生じます。
例えば、脊髄のうち首の部分に相当する頚髄を損傷すると、手足の両方に麻痺を引き起こし、社会生活が困難な状況が生涯続くことになります。
国内の脊髄損傷患者は推定10万人以上といわれ、さらに毎年、新たに約5000人の患者が発生しています。
しかし、現状で有用な治療法は確立されておらず、後遺症を軽減するためのリハビリテーションが標準的な治療方法となります。
脂肪由来幹細胞を用いた「脊髄損傷」の再生医療の治療内容
現在、明確な代替の治療方法のない脊髄損傷ですが、脊髄損傷の後遺症に対する新たな治療として、
脂肪由来幹細胞を使った再生医療があります。
患者様の脂肪組織は局所麻酔下で、通常、腹部もしくは大腿部の皮下脂肪から採取します。
取り出した皮下脂肪を「セルーション」という医療機器にかけて遠心分離し、脂肪由来幹細胞を取り出します。
脊髄損傷の場合は、取り出した幹細胞を静脈内点滴で全身投与します。