再生医療とは
再生医療と聞いて、すぐに思い浮かぶのは京都大学医学部・山中教授の「iPS細胞」ではないでしょうか。
2014年には世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われるなど、実際に成果をあげています。
そもそも再生医療とは、体の臓器や組織の機能がケガや病気で失われた時、失われた機能を再生させるために
細胞や組織を移植して、臓器や組織の機能を元に戻す医療のことです。
当院では、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を採用しています。
これは、大学病院を中心に数多くの臨床研究や臨床試験が行われ、厚生労働省監視下で安全性の検証が進められた治療です。
患者さんご自身の細胞を使用するため、拒絶反応が起こりにくく、また、高齢の方から採取した細胞でも、効果が期待できます。
たとえば、乳がんの手術で失われた乳房を乳房再建再生医療で元のように美しく戻すことができれば、
どれだけ前向きな人生を送れるでしょうか。
膝を傷めて歩くことさえ困難な方が、膝の再生医療でスムーズに歩くことができれば、
どれだけ楽しい人生を送れるでしょうか。
再生医療は、今後さらに進歩するさまざまな可能性を秘めた治療法といえます。
日常生活にも支障をきたす消えない痛み「慢性疼痛」

「慢性疼痛」とは、数か月から数年にわたって持続したり、再発を繰り返したりする痛みです。
痛みは、けがや病気など、体の異変を警告する大切なサインで、通常はけがや病気の治癒過程で治まっていきます。しかし、治癒しても痛みだけが残る、あるいは慢性的に痛みを感じる場合があります。
それこそ「慢性疼痛」といい、痛みが長期間にわたり続くのが特徴です。慢性疼痛には、大きく分けて3つの原因があります。
慢性疼痛には、大きく分けて3つの原因があります。
① 身体を守る病気
長期間にわたる肩こりやリウマチなど、完治が難しい病気による痛み。がんの痛みも含みます。
② 神経の異常な痛み
神経障害性疼痛、帯状疱疹などの後遺症、交通事故による外傷などの原因が神経に関係し、痛みが続きます。
刺激が長く続行するため神経自体にダメージを与えることが多く、慢性化が治療を困難にする場合があります。
③ 心理的な影響
中枢性の痛みやストレス、ストレスなどによって、痛みを強調させようとする脳の機能異常が起き、慢性疼痛が誘発されることがあります。
慢性疼痛に悩んでいると、気分も沈んだり、不安や緊張感、集中力の低下、イライラなどの精神的な症状も現れます。これらの症状がさらにストレスとして、悪循環を生むこともあります。
脂肪由来幹細胞を用いた「慢性疼痛」の再生医療の治療内容

慢性疼痛の治療は対症療法が主で、手術療法などの根治療法はないのが現状です。
保存療法は、痛みを緩和する内服薬、理学療法(温熱療法、薬剤療法、マッサージ、はり治療等)、
物理療法(レーザー治療等)、カウンセリングなどの心理療法が中心となっています。
しかし、これらの治療法では完治は望めず、多くの方が痛みに苦しんでいます。
最近では、慢性疼痛に対する治療として、脂肪由来幹細胞を使った再生医療があります。
患者様ご自身の脂肪組織から採取した脂肪由来幹細胞を、末梢神経内に点滴投与、痛みのある部位に局所投与します。
脂肪由来幹細胞が持つ神経細胞や神経血管の修復能力、また抗炎症因子の働きによって、慢性疼痛をコントロールし、
症状を緩和することが期待できます。患者様ご自身の幹細胞を用いるため、拒絶反応や感染症の心配はほとんどありません。