再生医療とは
再生医療と聞いて、すぐに思い浮かぶのは京都大学医学部・山中教授の「iPS細胞」ではないでしょうか。
2014年には世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われるなど、実際に成果をあげています。
そもそも再生医療とは、体の臓器や組織の機能がケガや病気で失われた時、失われた機能を再生させるために
細胞や組織を移植して、臓器や組織の機能を元に戻す医療のことです。
当院では、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を採用しています。
これは、大学病院を中心に数多くの臨床研究や臨床試験が行われ、厚生労働省監視下で安全性の検証が進められた治療です。
患者さんご自身の細胞を使用するため、拒絶反応が起こりにくく、また、高齢の方から採取した細胞でも、効果が期待できます。
たとえば、乳がんの手術で失われた乳房を乳房再建再生医療で元のように美しく戻すことができれば、
どれだけ前向きな人生を送れるでしょうか。
膝を傷めて歩くことさえ困難な方が、膝の再生医療でスムーズに歩くことができれば、
どれだけ楽しい人生を送れるでしょうか。
再生医療は、今後さらに進歩するさまざまな可能性を秘めた治療法といえます。
放っておくと歩行すら困難に「変形性膝関節症」

放っておくと、膝の変形が進みます。そして、軟骨だけでなく半月板も破壊され、やがて歩行すら困難になっていきます。
そうなると、膝を守ってくれる筋肉も衰えていき、ますます膝に負担がかかるという悪循環に陥ってしまうのです。
膝の関節の表面は軟骨で覆われていて、歩行時の衝撃を和らげたり、関節の動きを助けたりする働きがあります。
膝への負担が増すと、この軟骨がすり減り、関節に炎症を起こして、歩行時に強い痛みを感じたり、
関節内に水がたまって腫れ、曲がりにくくなります。
症状が進むとQOL(生活の質)が著しく低下し、寝たきりの原因になってしまうこともあります。
そうならないためにも、軟骨がすり減ってしまう前に、治療を始めることが大切です。
では、どのような治療法があるのでしょうか。
痛みを緩和するためには、ヒアルロン酸やステロイドの関節注射、内服治療やリハビリテーションといった保存療法を行います。
しかし、それだけでは根本治療にはならず、徐々に症状は進行してしまいます。
そして、いよいよ日常生活や歩行がつらくなると、手術の適応となります。
自身の脂肪由来幹細胞を用いた「膝の再生医療」とは
自身の幹細胞を使って軟骨の損傷を修復することで、症状の進行を遅らせ、痛みの改善といった効果を期待できる、いわば第3の選択肢です。
他の再生医療の治療と同様に、自身の脂肪組織を脂肪吸引で採取し、約2時間で投与用の脂肪由来幹細胞を調製。これを関節内に局所投与します。
脂肪由来幹細胞を投与することで、炎症を治めるとともに、傷んだ箇所の修復や再生を促し、関節の軟骨の変性を抑え、将来にわたって膝関節を長持ちさせる効果が期待できます。