「乳房再建までを含めて乳がん治療」という意識の高まり
乳房再建とはどのような治療でしょうか。
患者さんの腹部や大腿部から皮下脂肪を採取し、半分は「セルーション」にかけて遠心分離し、脂肪組織由来幹細胞(ADRC)を抽出します。
残り半分は、脂肪組織を洗浄し、抽出した脂肪幹細胞と混合します。
その後、胸の陥凹(かんおう)部分に注入して移植します。
傷口は脂肪吸引の傷と注入部の小さな傷のみで、手術は半日程度で済みます。
次に、使用する乳房再建の機序(仕組み)についてお話します。
脂肪組織由来幹細胞(ADRC)を酸素の少ない環境に注入すると、サイトカインという物質を大量に放出し、その物質が新しい血管を作る作用を持っています。
そして新しく作られた血管から、栄養素や酸素が供給されることで乳房の細胞が再生されていくことが期待できるという流れとなっています。